1. 韓国での会社設立(法人登記)— 外国人投資家向け基礎知識
韓国は東アジアの物流・金融ハブとして高い注目を集めており、外国人投資家に対してもビジネス環境の整備が進んでいます。外国人が韓国で事業を行う方法は大きく3つあります。(1)外国人投資法人の設立(外国人투자法により法人を設立)、(2)支店の設置(外国企業が韓国内に支店を登記)、(3)連絡事務所の開設(収益活動のない情報収集・連絡業務)です。
外国人が法人を設立する場合、根拠法は「外国人投資促進法(외국인투자 촉진법、通称FIPA)」です。FIPAに基づき外国人投資申告を行うことで、各種税務優遇や行政サポートを受けられます。また、法人設立後は原則としてD-8(法人投資)ビザを取得することで、経営者本人が韓国に在留することが可能です。
法人設立にあたっては、法院(裁判所)への法人登記、KOTRAまたは地方自治体への外国人投資申告、税務署への事業者登録の3段階が核となります。各段階で必要書類が異なり、書類不備が最も多い失敗原因となっています。専門行政書士のサポートを活用することで、手続き期間を大幅に短縮できます。
なお、外国人が韓国で法人を設立する場合でも、韓国語の定款・登記書類の作成が必要です。日本語で相談を受け付けている行政書士事務所(비전행정사사무소など)を活用することが実務上の近道です。
2. 会社の種類:有限会社(LLP)vs 株式会社(JSC)vs 支店・連絡所 比較
韓国の会社法(상법)が認める主な会社形態と、外国人投資家が選択する主な選択肢を比較します。
| 形態 | 最低資本金 | 設立コスト | 特徴・用途 |
|---|---|---|---|
| 株式会社(주식회사) | 法定下限なし(実務的に100万ウォン〜) | 中〜高 | 上場可能・株式発行・外部資金調達に最適。最も一般的 |
| 有限会社(유한회사) | 同上 | 低〜中 | 手続き簡略・非公開。株式発行不可。中小ビジネス向け |
| 有限責任会社(유한책임회사) | 同上 | 低 | LLCに近い形態。内部自治の自由度高い。新設増加中 |
| 支店(지점) | − | 低 | 本社の延長。法人格なし。韓国国内での営業活動が可能 |
| 連絡事務所(연락사무소) | − | 最低 | 収益活動禁止。市場調査・情報収集のみ。D-8ビザ不可 |
外国人投資家に株式会社が推奨される理由
外国人投資家の多くが株式会社(주식회사)を選択する最大の理由は、資金調達の柔軟性と社会的信用度の高さです。韓国の主要取引先企業や金融機関は株式会社形態を標準として扱うことが多く、有限会社では契約審査で不利になるケースがあります。
一方、有限회사(유한회사)は設立コストと維持費が低く、情報開示義務も株式会社より軽いため、家族経営・内輪向け事業には適しています。有限책임회사(유한책임회사)はLLCに近い形態で、業務執行・損益分配を自由に設計できる点が欧米系投資家に人気です。
3. 韓国法人設立の手順①:事前準備(資本金・定款・代表者要件)
韓国での法人設立を始める前に、以下の3点を必ず確定させてください。
① 資本金の準備と送金
D-8ビザの取得を前提とする場合、最低1億ウォン(一般型D-8-1)の投資資金が必要です。資本金は、法人設立前に発起人(代表者)名義の韓国銀行口座への外国送金として証明する必要があります。送金は必ず海外銀行から韓国銀行口座へ行い、외화입금증명서(外貨入金証明書)を取得します。
外貨として送金した資本金は、法人設立後に法人口座へ移管され、외국인투자기업등록증(外国人投資企業登録証)に反映されます。資本金の一部を韓国国内で調達することは原則として認められません。
② 定款の作成
定款(정관)は会社の根本ルールを定める文書で、韓国語で作成する必要があります。必須記載事項は:①商号 ②目的(事業目的) ③本店所在地 ④発行할 주식의 총수(発行可能株式総数) ⑤1株の金額 ⑥설립 시 발행하는 주식의 총수(設立時発行株式数) ⑦자본금(資本金の額)です。
定款は公証人による인증(認証)が必要です(株式会社・有限会社)。認証費用は約30,000〜50,000ウォンが目安です。なお、2024年改正により、1億ウォン以下の小規模株式会社は公証不要になりましたが、D-8ビザ申請では引き続き公証定款が推奨されます。
③ 代表者(이사/대표이사)の要件
代表者は外国人でも就任可能です。ただし、韓国内に事業拠点を置く必要があり、法人住所(本店所在地)の確保が前提となります。バーチャルオフィスを法人住所として登記することも可能ですが、業種によっては実際のオフィスが求められる場合があります。
4. 韓国法人設立の手順②:法院登記・外国人投資申告・事業者登録
事前準備が整ったら、以下の3ステップで法人設立手続きを進めます。
定款・設立登記申請書・発起人決議書・取締役就任承諾書・自本납입金보관증명서(払込保管証明書)などをそろえ、本店所在地を管轄する登記소(登記所)に申請します。登記完了まで通常5〜7営業日。登記完了後に법인등기부등본(法人登記簿謄本)を取得してください。
KOTRAの외국인투자옴부즈만(外国人投資オンブズマン)または地域の투자유치기관(投資誘致機関)に外国人投資申告書を提出します。申告後に외국인투자신고서(外国人投資申告書)が交付され、D-8ビザ申請の必須書類となります。オンライン申告(i-invest.go.kr)も可能です。
法人登記完了後14日以内に、本店所在地を管轄する세무서(税務署)に사업자등록(事業者登録)を申請します。申請には법인등기부등본・정관・임대차계약서(賃貸借契約書)・대표자 신분증(代表者身分証)などが必要です。登録完了後に사업자등록증(事業者登録証)が交付されます。
사업자등록証を取得後、法人口座を開設します。外国人が代表の場合、外국인등록증または여권(パスポート)が必要です。主要行ではKDB산업은행・기업은행・우리은행などが外国人法人に対応しています。
外国人投資申告後、외국인투자기업등록증(外国人投資企業登録証)を取得します。この証明書はD-8ビザ申請・FIPA優遇申請の両方に必要です。発行機関はKOTRAまたは광역시·도의 투자유치담당부서(投資誘致担当部署)です。
上記の5ステップが完了すると、D-8ビザの申請に必要な基本書類がすべてそろいます。書類準備から申請完了まで、専門家サポートなしでは平均2〜3か月かかるケースもありますが、行政書士に依頼すると通常4〜6週間に短縮できます。
詳細は外資法人設立の詳細ガイドもご覧ください。
5. 外国人投資促進法(FIPA)に基づく外国人投資企業の優遇措置
外国人投資促進法(FIPA)は、韓国への外国人直接投資(FDI)を促進するための根拠法です。FIPAに基づく外国人投資企業は、以下の優遇措置が受けられます。
税制優遇(租税減免)
FIPA指定業種(製造業・研究開発業・関光娯楽業・物流業など)への外国人投資には、法人税・所得税が最初の5年間100%免除、次の2年間50%減免(合計7年)となるケースがあります。指定業種に該当しない場合でも、외국인투자지역(外国人投資地域)内への投資であれば減免対象となる場合があります。
賃料優遇・インフラ支援
外国人投資地域や自由経済区域(FEZ)内では、土地・建物の賃料が最大50年間無償〜優遇賃料で提供される制度があります。また、工場設置・電力・水道などのインフラ費用補助が自治体から支援されることもあります。
행정 원스톱 서비스(行政ワンストップサービス)
KOTRAのInvest KOREAポータル(investkorea.org)を通じて、法人設立・허가(許可)取得・入国手続きなどの行政手続きをワンストップで支援する無料サービスがあります。日本語対応スタッフも配置されています。
投資移民全般の相談は投資移民専門相談ページからどうぞ。
6. 法人設立後のD-8ビザ申請要件(2026年最新)
法人設立・外国人投資申告が完了したら、次はD-8(법인투자、法人投資)ビザの申請です。D-8ビザは外国人投資家・経営者が韓国に在留するための主要なビザで、2026年現在も4つのサブタイプがあります。
| タイプ | 対象 | 最低投資額 | 雇用要件 |
|---|---|---|---|
| D-8-1 | 一般外国人投資企業 | 1億ウォン以上 | 韓国人常時雇用2名以上 |
| D-8-3 | 스타트업・창업投資 | 3,000万ウォン以上 | 韓国人1名 or 점수제 통과 |
| D-8-4 | 첨단기술분야(先端技術分野) | 基準なし(技術力評価) | 기술인정기관 인증 필요 |
| D-8-2 | 공공기관 투자(公共機関投資) | 별도(別途) | 해당기관 요건(該当機関要件) |
D-8ビザ申請に必要な主な書類(2026年)
- 外国人在留資格変更(または査証発給)申請書
- パスポート(有効期限6か月以上)
- 사진(写真)3cm×4cm、最近3か月以内撮影
- 법인등기부등본(法人登記簿謄本)
- 사업자등록증(事業者登録証)
- 외국인투자신고서 사본(外国人投資申告書の写し)
- 외국인투자기업등록증(外国人投資企業登録証)
- 투자금 입금 증명서류(投資金入金証明書類)
- 고용보험 확인서류(雇用保険加入確認書類)※D-8-1は韓国人雇用証明が必要
- 건강보험 납부확인서(健康保険納付確認書)
申請場所は、韓国国内在留中の場合は出入国・外国人官署(히이민국)、海外からの場合は韓国大使館・領事館です。
D-8ビザの詳細についてはD-8法人投資ビザ詳細ページをご覧ください。
7. 資本金基準と業種別最低投資金額の詳細
D-8ビザ取得のための投資金額要件は外国人投資促進法施行령によって定められています。業種によって最低投資額が異なるため、事前確認が不可欠です。
標準投資金額基準(2026年)
| ビザタイプ | 最低投資額 | 備考 |
|---|---|---|
| D-8-1(一般型) | 1億ウォン以上 | 韓国人正規雇用2名以上が必要 |
| D-8-3(スタートアップ型) | 3,000万ウォン以上 | 벤처기업확인서または점수제 통과 |
| 국가첨단기술分野(D-8-4) | 基準なし | 해당기관の技術力認定が必要 |
業種別の注意点
業種によっては、D-8ビザの最低投資額よりも高い規制上の最低資本金が課される場合があります。例えば、金融業・보험업(保険業)は별도의 최저자본금(別途最低資本金)の規制があります。また、의료업(医療業)・법무법인(法務法人)など外국人投資が制限されるまたは禁止されている業種も存在します。
投資禁止・制限業種は산업통상자원부(産業通商資源部)のFIPA業種リストで確認できます。
資本金は「実際に送金した金額」で計算
重要なポイントとして、資本金は「登記上の資本金」ではなく「실제로 해외에서 송금한 금액(実際に海外から送金した金額)」を基準に審査されます。韓国国内で借入れた資金や、韓国在留中に現金で出資した資金は原則として算入できません。海外送金の証拠書類(외화입금증명서)は必ず保管してください。
8. 税務・会計:VAT登録・法人税・会計年度の基礎
韓国で法人を設立した後は、韓国の税制に従って適切に申告・納税する必要があります。主な税目を解説します。
① 付加価値税(부가가치세 / VAT)
韓国の標準VAT税率は10%です。事業者登録時に自動的に課税事業者として登録されます。申告は年2回(1月25日・7月25日が申告期限)が基本で、予定申告を含めると年4回申告が必要なケースもあります。前年課税売上高が8,000万ウォン未満の場合は簡易課税事業者として申告することも可能です。
② 法人税(법인세)
韓国の法人税率(2024年〜)は以下の通りです:
- 2億ウォン以下の過세표준:9%
- 2億〜200億ウォン:19%
- 200億〜3,000億ウォン:21%
- 3,000億ウォン超:24%
法인세は毎年の事업연도(会計年度)終了後3か月以内に申告・納付(사업年度終了が12月末の場合、翌年3月末が申告期限)。
③ 회계年度(会計年度)
韓国の法人の会計年도は自由に設定できますが、多くの場合、1月1日〜12月31日の暦年ベースで設定されます。定款に明記する必要があります。
④ 원천징수(源泉徴収)
従業員への給与支払時には원천징수(源泉徴収)義務があります。毎月または半期(2024年改正で一部変更)ごとに신고(申告)・납부(納付)が必要です。한국어로 된 급여명세서(給与明細書)の交付も義務づけられています。
9. 韓国法人設立でよくある失敗と対策
外国人が韓国で法人を設立する際、以下のような失敗が頻発しています。事前に把握しておくことで回避できます。
失敗1:資本金を韓国国内で調達してしまう
問題: 韓国在住の知人から借入れた資金や、韓国内の銀行融資をそのまま資本金として使用しようとするケース。
対策: 資本金は必ず海外(本国)の口座から韓国法人口座への国際送金で証明してください。FIPAに基づく外国人投資の認定には「해외에서의 투자자금 송금(海外からの投資資金の送金)」の証明が必須です。
失敗2:事業目的の記載が不十分
問題: 定款の事業目的(목적)の記載が漠然としすぎて、업종코드(業種コード)との不整合が発生するケース。
対策: 사업자등록 시 업종코드(事業者登録の業種コード)と定款の目的を事前に合わせておく。後から定款変更登記が必要になると追加費用と時間がかかります。
失敗3:オフィス(本店所在地)の確保を後回しにする
問題: 登記申請の段階でオフィス契約が整っておらず、賃貸借契약서(賃貸借契約書)を提出できないケース。
対策: 登記申請の前に本店所在地を確保してください。バーチャルオフィスでも可ですが、일부 업종(一部業種)は実際のオフィスが要求されます。
失敗4:雇用要件(D-8-1)を満たしていない状態でビザ申請
問題: D-8-1ビザには「韓국인 상시 2인 이상 고용(韓国人常時2名以上の雇用)」要件があるが、設立直後に未充足のままビザ申請して不許可になるケース。
対策: D-8-3(スタートアップ型・3,000万ウォン〜)で先にビザを取得し、事業拡大後にD-8-1に変更する方法が有効です。専門家と要件確認を必ず行ってください。
失敗5:税務申告・VAT申告の遅延
問題: 事業者登録完了後、韓국어での홈택스(ホームタックス)の操作が分からず、VAT申告を失念してしまうケース。
対策: 설립 초기から세무사(税理士)または행정사(行政書士)に税務申告サポートを依頼することを強く推奨します。
これらの失敗は、専門家のサポートを受けることで大部分を回避できます。詳しくは外資法人設立詳細ガイドもあわせてご参照ください。
10. 비전행정사사무소のワンストップ会社設立サポート
비전행정사사무소(VISION Administrative Attorney Office)は、韓国での外国人ビザ・移民・外国人投資法人設立を専門とする行政書士事務所です。2018年の設立以来、1,000件以上のビザ・在留・法人設立案件を処理してきました。
サポート内容
- 法人設立相談: 会社形態の選択から定款作成・法院登記まで一貫サポート
- 外国人投資申告(FIPA申告): KOTRAへの申告代行・外国人투자企業登録
- D-8ビザ申請: 必要書類の収集・作成・出入国管理局への申請同行
- 税務・会計: 사업자登録・VAT申告・法人税申告のサポート(세무사連携)
- 多言語対応: 日本語・中国語・英語・韓国語の4言語で対応
- オンライン対応: KakaoTalk・WeChat・LINE・WhatsAppでのリモート相談可能
相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。